Memo 2015 0108 - 孤立語の話者としての孤独

ロシア語の勉強は動詞の現在形を過ぎ、過去形と再帰動詞に入りました。焦らず、ゆっくり勉強していきます。

英語のnotに当たるロシア語のнеがフランス語neに通じることを見る度に、文字は違っても、これらの諸言語はすべてインドヨーロッパ語であるということを実感します。文字の壁さえ乗り越えると、アイルランド語からゴット語、ギリシャ語、ヒッタイト語、サンスクリット語まですべて分かります。

He is not american.
он не американский. (on ne amerikanskiy)
il ne est pas américain.

インドヨーロッパ語における強い類似性に比べると、日本語・韓国語・満洲語・モンゴル語は、使われている文字が異なるのみでなく、語彙面の類似性も弱いということが分かります。ロマ(ジプシー)が、暮らす地域の主な言語から文法を借りてきて、語彙のみを残す「パラロマニ」現象のように、ある時期、この地域に強力な集団が存在して、その集団が日本語・韓国語・満洲語・モンゴル語のように相異なる諸言語に文法を貸した後に消滅したのではないかと想像します。現代韓国語の根源となる三韓語を使っていた三韓集団は、その強力な集団ではなかったと思います。

http://en.wikipedia.org/wiki/Para-Romani

そして、その消滅した集団から文法を借り、それぞれの語彙を保存した日本人・韓国人・満洲人・モンゴル人は、インドヨーロッパ語族やシナ・チベット語族を使う集団に追われて、シベリアやユーラシア東海岸のような周辺部に居住することになったのではないかと。津曲敏郎先生の『満洲語入門20講』(大学書林、2002)の序文によると、満洲語を研究するシベリア地域の少数民族の学者たちは、近代韓国の歴史にも登場するメレンドルフが定めた満洲語のローマ字表記法に従って満洲語をローマ字にした電子メールをやりとりするそうです。

このように、一時期はユーラシア東部に広く居住したであろうこれらの諸言語を話す集団は、今は大陸の周辺部でかろうじて生き残り、お互いの関係を薄々と感じるのみです。このような言語の一つである韓国語を話す私は、インドヨーロッパ語族やシナ・チベット語族に属する言語を話す研究者を羨ましいと思います。そして、孤立語の話者として孤独を感じるのであります。