木村蒹葭堂と海外知識、そして出版

10月に高麗大学で開かれる韓国18世紀学界で、「木村蒹葭堂と海外知識、そして出版」というテーマで発表することになり、蒹葭堂のことを猛勉強中です。いつも取り組んでいる『絵本太閤記』とその絵師・岡田玉山の作品を取り上げて、諸作品の挿絵を提示しながら説明していくつもりです。参加するだろう皆さんにとって、近世日本とは今まで関心圏の外の存在だったためです。韓国18世紀学界で日本の古典文化のことが発表されるのは初めてだそうです。ですので、なるべく分かりやすく、しかし、韓・日の両国の学界に共に意味のある内容を発表しなければならないと思っています。古典日本学の研究者として責任感を感じています。

今回の発表論文は、来年の初め頃に韓国で出版される一般向けの共著に載せるつもりです。まだ、日本語での発表・掲載の計画はありませんが、いずれ、他の論文と共に単著として出すことになるでしょう。古典日本学を研究する外国人として、二番目の日本語の単著を出すことで、初めて、日本の学界・社会の脈絡の中で存在意義を持つ研究・研究者になるのだと考えてきました。そのためにも、今回の蒹葭堂関連の発表原稿を、未来の単著の全体の枠と有機的に関連するものにするために苦悩するこのごろです。