メモ 2014 0718 - マレーシア航空機撃墜事件

私は大学に設置された所謂「歴史学科」で学位を取ったのではなく、「語文学科」で博士を取りました。で、私の世界観や研究方法論は所謂「歴史学者」のそれとは異なるということを常に感じています。

このような私の背景を申し上げたのは、歴史はある種の法則や時代精神(Zeitgeist)以上に、偶然によって大きく変化する場合が多い、ということを最近になって考えるようになったということを述べるためです。ある人は偶然から傾向性を見出すでしょうが、私は傾向性の中から発生する偶然を重視します。

今日の夜明け前に起きたマレーシア航空機撃墜事件は、今までの傍証やウクライナ事態をめぐる状況から見て、ウクライナ東部のロシア系反軍が民航機をウクライナ軍の輸送機と誤認して起こした失敗のようです。このような事件が起きる可能性はウクライナ事態の勃発以来常にありましたが、事件が起こる可能性があるということと、実際に事件が起きたということとは、質的に異なります。

1914年のサラエボ事件から100年経った2014年、再び東ヨーロッパで起きた偶然の事件が歴史を大きく変えようとしています。