蒹葭堂と通信使問題

昨日の韓国18世紀学会での、木村蒹葭堂に関する発表。発表する私も面白く感じつつ話し、聞いてくださる先生方の反応も上々でした。私の発表に続いた発表は東アジアにおける「雅集図」に関する内容でしたが、ここでも木村蒹葭堂が登場して驚きました。木村蒹葭堂の魅力は世界共通で共感を得ることを確認。

蒹葭堂を通信使問題の延長で見ようとする向きが、韓国学の一部にあります。議論がその流れになってしまうのはつまらないので、日本学の立場から蒹葭堂のことを話していこうという意識はあります。尙、通信使をめぐる問題系については、今まで議論されてきたものを越えて、いろいろと攻めていく余地があるように感じています。

後、蒹葭堂グループとしての岡田玉山の出版活動に関する私の仮説も概ね承認を得ましたので、少しは自信を持って修正し、共著に載せることにしました。

これで、今年の仕事は、12月のシンポでの発表と2つの翻訳のスタートのみに。時間の経つのは早いもんですね。もう2ヶ月ちょっとしか残ってませんね。

海外で日本学をやるということ

今夜、論文を書きながら、暇つぶし(?)に拙著『異国征伐戦記の世界』が欧米のどこの大学に入っているかを調べてみました。現在、アメリカのHarvard大学Yenching研究所とYale大学、イギリスのCambridge大学とOxford大学、オランダのLeiden大学に入庫されていることを確認しています。本当にありがたいことです。ただ、ただ、感謝するのみです。

海外で日本学を研究することが、欧米人以外の人々にも可能であるということを、東アジアの先学に引き続き、微力ながら証明していきたいと思っています。自国に滞在する欧米人の研究者に有意義なアジア・アフリカ学ができるなら、韓国人や台湾人、中国人にもそれはできるはずです。

ところで、面白いことに気づきましたが、拙著の表紙には「金時徳、 KIM Shiduck」と、名前の韓国語読みを表記したつもりですが、Harvard大学の検索結果には「Kim, Si-de」と、中国語読みになっています。また、Yale大学などには「Kimu, Shidoku」と、日本語読みになっています。それぞれの大学で、東アジアの人名を表記する責任者の性向が垣間見られるとともに、韓国人の司書・研究者が少ないようだな、という印象をも受けました。