『シベリア出兵』,『White Siberia - The Politics of Civil War』

ロシア革命と干渉戦争、そして、セミョーノフ、コルチャーク、クラスノシチョーコフ。

ついに、この2冊が揃いました!

原暉之『シベリア出兵:革命と干渉1917–1922』
N.G.O. Pereira『White Siberia - The Politics of Civil War』

[自著・他著(本について)]『近世日本の国際関係と言説』(渓水社、2017・4 )

『近世日本の国際関係と言説』(渓水社、2017・4 )

『「鎖国」という言説: ケンペル著・志筑忠雄訳『鎖国論』の受容史』の著者である大島明秀先生よりいただきました。

荒野泰典教授の退職記念論文集で、所収論文はバラバラですが、読み応えのある文章も多くあります。大島さん、どうもありがとうございました。

荒野泰典教授の総論の中に、大島さんに触れているところがありますので、少し引用します。

「これらの仕事を導きの糸としながら手探りで進めてきた作業が、いわゆる「鎖国」という「言説」の研究であることを私が自覚したのは、今世紀に入って大島明秀の研究に出会ってからのことだった。この作業を初めて一〇年以上も経ってからのことで、まずは、自らの勉強不足を恥じる他はない。

さて、大島の仕事に啓発された私は「言説」について学び始め、上述の「鎖国」に関する長年の素朴な疑問がほぼ氷解するのを感じた。その疑問とは、史実としては(実際には)「鎖国」(国を鎖)していなかったことが明らかなのにもかかわらず、「鎖国」という言葉はなくならないばかりか、その延命のための様々なアイデアが提案されるなどして、いまだに命脈を保っているのはなぜか、さらに、それが端的に示している「鎖国」という言葉とそれが体現している歴史観の根強さはどこから来るのかということであった。例えば、私の提案した「四つの口」論は、ほどなく高校の日本史の教科書などにも採用されたが、「鎖国下の四つの口」などという形容矛盾としか言いようのない表現で記述されて、多くの場合その矛盾も意識されない、あるいはその問題に正面から向き合おうとされないという類いのことである。

同じ頃に、文科省の学習指導要領から「鎖国」が削除されたが、「開国」は残された。」(3−4頁)

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総説―本書の刊行に向けて―(荒野泰典)
一 現在の私の研究上の立場と四つのキーワード―「近世日本」・「国際関係」・「日本型小帝国」・「鎖国・開国」言説―
二 近世日本の国際関係と言説

第一部 一七〜一八世紀の地域社会とアイデンティティ

秀吉の朝鮮侵略に見るポルトガルの参戦(申東珪)
東インド会社の苦い敗北―鄭成功による台湾征服――(一六六一〜一六六二)(パトリツィア・カリオティ)
台湾漢人アイデンティティーの形成と媽祖信仰(赤井孝史)
「郡方毎日記」にみる近世対馬の突き取り捕鯨(及川将基)
糸割符再考―糸割符増銀と生糸現物配分について―(西垣昌欣)
近世海域アジア世界とオランダ東インド会社の日本貿易(島田竜登)
近世初期対外関係の伝承とその利用―松浦静山の収集史料を中心に―(吉村雅美)

第二部 一九〜二〇世紀の変革と言説

「蘭学」を腑分けする(大島明秀)
「よしの冊子」諸写本の比較(橋本佐保)
一九世紀における藩認識と国家認識・対外認識―三河田原藩家老渡辺崋山を事例に―(矢森小映子)
ペリー来航時の贈答のかわら版にみる対外認識(田中葉子)
後期幕領期におけるアイヌ同化政策と在地の動向(濱口裕介)
嘉永・安政期における幕府火薬製造の変遷―水車動力の導入を中心に―(福田舞子)
漂流民救助と送還の近代化(上白石実)
「女大学」言説の変遷とその評価―「女大学」研究をめぐって―(安田千恵美)
ソメイヨシノをめぐる言説とその実像(秋山伸一)
現在日本の国境問題を近世国際関係論から考える(荒野泰典)
A Bitter Defeat for the VOC:The Conquest of Taiwan by Zheng Chenggong, 1661-1662(Patrizia Carioti)