「倭寇図巻」「抗倭図巻」をよむ : 勉誠出版

久しぶりに、こんなひと時を。

本当に、本当に素晴らしい本ですね!

末尾の村井章介文章のみは、つまらなかったな。

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「「倭寇図巻」の性格をめぐる研究状況は、この五、六年の間に劇的に変化し、さまざまな角度からの切り込みと分析によって格段に深化した。二〇一五年十月〜一一月に大和文華館で開催された「蘇州の見る夢ー明・清代の都市と絵画」展に「倭寇図巻」が出品されたことは、その一つの表れである。当該展は中国美術の展覧会であり、「倭寇図巻」は「絵画市場の発展」を示すものとして、「九成宮図巻」「清明上河図鑑」と並べられて展示された。従来歴史研究の文脈で「倭寇」を描いた作品としてのみ扱われてきた「倭寇図巻」が、歴史展示ではなく、美術展示のなかで、しかも「倭寇」という画題からすら離れて扱われたことじたい、この間の研究により、「倭寇図巻」に新たな見方・価値が付与されたことの象徴と言えよう。」(須田牧子「「倭寇図巻」研究の現在」、20-21頁)