「織豊期王権の論じ方」、『中国出版文化史』など

昨日は文献と解釈研究会の後に数人と夜遅くまで一杯しました。また、『懲ひ録』訳解本の監修本を頂いて、今日はそれを原稿ファイルに反映する作業をやりながら、ゆったりした土曜日を過ごしました。こうして原稿を出版社に送ってから一息つき、初稿がくると緊迫した1・2週間を送ることになるでしょう。監修者の先生のお話では、草本・16巻本・2巻本・和刻本を校勘したことだけでも意義があるということでしたので、とりあえず幸いです。

一方、最近頂いた玉稿・ご著書を紹介します。

数年前から親しくしていた啓明大学のLEE Sangjeong先生の修士論文が通りました。「後醍醐政権の一考察‐検非違使の運営と役割を中心に‐」。この論文が作られた経緯を見守ってきた人として、感無量です。勿論、充実した内容の論文です。

先週カナダでお会いした堀新先生の玉稿「織豊期王権の論じ方」『九州史学』164(2012・12)。前に紹介した『織豊期王権論』(校倉書房、2011)に繋がる問題意識だと思いました。

井上進『中国出版文化史』。著名な本ですので贅言を要しないと思いますが、一言で言うと、堅苦しい概説書ではなく、読み応えのある本です。宮下志朗『本の都市リヨン』をも思い出させます。二冊ともに、専門性と大衆性の両方を獲得した、日本の人文学の底力を示す本だといえるでしょう。