再び、『暮らしの中の古文書』

某博物館に展示される日本の古文書の解題作業を一旦終えました。この文章を書きながら一休みして、文章を直してメールで送ると寝ることができます。

一日中、古文書を解読する私の脳裏を離れなかったのは、2010年に帰国する直前から手に取っていた『暮らしの中の古文書』といった本にまつわる思い出でした。当時、何らかの予感からこの本を紐解き、慣れない古文書の勉強を始めました。本に載っている私文書を一字一字解読しながら、いつになったら、この勉強の成果が出るのだろうかと思っていました。そして、今年、様々なところで日本の古文書学・書誌学に関して発表・講演しています。留学の最後に漠然と描いていたことが2年余りで現実になった今、今度はどんな絵を描くかを思っています。

ここ数年を振り返ると、未来の構想は予想したよりもっと大きく、速く実現しました。一つの大きな構想だった、近世における清・朝鮮・ロシア・日本の関係の研究はすでに動き始めました。もう一つの構想だった欧米の学界との交渉も、恐らく、来年から本格化します。これらの構想もまた、当初思っていた以上に速く動いていて戸惑いを感じます。果たして、自分はこのような構想を描き、その中に身を投げる準備ができているのだろうか。ひたすら想像し、歩いていくのみです。