『清朝とは何か』と『満洲語入門20講』

今日は『満文老档』輪読会に参加しました(高麗大学民族文化研究院・満洲学センター)。ここで数年間続いた『満洲実録』の翻訳が終わり、『満洲実録』の基となった『満文老档』の解読が先月から始まりました。『満文老档』は20世紀前半に日本の「東洋学者」内藤湖南が中国で見つけ、1950年代に転写・日本語訳が東洋文庫から刊行されました。この東洋文庫本『満文老档』は現在、世界の満洲・清朝研究者に広く利用されています。最近は、『満文老档』の母体である『旧満洲档』の方の重要性が強調されつつありますが、20世紀における日本の「東洋学」の重要な成果の一つである東洋文庫本『満文老档』の意味は、かなりの間、色あせることはないと思います。

輪読会では『満文老档』の満洲語原本と東洋文庫本を比べながら転写・韓国語訳を進めています。『満洲実録』の講読には最後のあたりから参加しましたが、これから4−5年は続く『満文老档』の輪読に最初から参加できてうれしいです。

それで、久しぶりに気を張るために、『清朝とは何か』と『満洲語入門20講』を借りて読みました。前者は、各分野の研究者が満洲・清朝を様々な角度で概説したもので、後者は満洲語の入門書・マニュアルです。高校生の時、東京にはウイグル語の塾がある、との韓国の新聞記事を読んで衝撃を受けたことがあります。この『満洲語入門20講』は、あの際の衝撃を甦らせました。こんな本が作れる学界とこんな本が広く読まれる読者層が存在する日本という国は、私の永遠なる研究対象であると同時に、私の目の前に聳え立つ巨大な城壁でもあります。